2005年11月26日
『春の雪』★★★☆☆

六本木ヒルズのヴァージンシネマで観て来ました。六本木ヒルズはクリスマスのイルミネーションで、青に白に、キラキラしていて、行き交う人達の心の温度もいつもより高い気がしました。
そんなわけで、私はこの時期のこの場所が大好き。昼に、夜に、よくウロウロしています。
さてさて、今夜は『春の雪』を観て来ました。そんな私のバッグの中には原作が。
実は、映画を観る1時間前に原作を読み終えたばかり。
読んで、すぐに観に行く。…なかなか面白い計画だと思ったのですが。
ちょっと時間を置くべきだったと、少し残念な思いです。
というのも、原作の世界に溺れたままに観に行ってしまったものだから、頭の中に具体的な映像イメージが、自分の頭の中に作ってしまった映像イメージが、行定版「春の雪」との間に大きなギャップを生んでしまったから。
でも、そのおかげで(?)、ミシマ文学の素晴らしさを痛感致しました。文字だけでここまでリアルに感じさせることができるなんて。言葉は、言葉というよりもまさに「言の葉」という方が相応しく、選び方、並べ方、そういった所にも彼の美学が溢れていて、読むものの目の前に実にリアルな世界が開けてしまう描写はさすがでした。
もちろん、映画が、それまで読むことによって体感していたイメージを、もっともっと具体的に見せてくれた部分も多かったのですが。やはり、時代が時代なだけに、ちょっと無理を感じる部分もあったかな〜と思います。
細かな感想を言うと、まず、この時代(大正時代)の、言葉は稚拙だけれど、「ヤバさ」ってやつをもっともっと出して欲しかったと思います。この時代の人々の精神をもっともっと全面に出して欲しかったと思います。ヴィジュアルだけで説明されていると感じてしまう部分があったのが残念です。
それから、「間」でしょうか。わざと作っている間なのか、できてしまった間なのか…ちょっと謎な部分が幾つかありました。優雅さを表現する為の間だとしたら、違うかな〜と思ってしまいました。
あと、主人公の清顕と聡子には、もっともっと、ドキドキさせてもらいたかったし、もっともっと、涙を誘って欲しかったです。
ダメ出しばかり並べてしまったようで、なんか自分でも辛くなってきましたが…
いい映画は、いい映画なのです。日本はもっと、こういう映画に力を入れるべきです。こういう映画が増えるべきです。
特に、この映画なんて、日本が誇るべき文学作品の映画化ですから、素晴らしい試みだと思います。
輪廻転生を信じて、現世では叶わなかった恋を、次に託すなんて…ロマンチックじゃないですか。切ないじゃないですか。
この映画を観ているとね、それが、本当にできるような気がしてくるのです。
この2人は、次の世でもまたこうして出会って、愛しあうことができるんだろうなって。
余談ですが…うちの祖母は、亡くなった祖父と生前に、「生まれ変わったら、また一緒になろう」と約束したそうです。それを私に話してくれた時の祖母の顔、忘れられません。本当に、幸せそうに、ちょっと照れながら話すんですもの。
そう思える人と出会えたら、最高ですね。
『春の雪』★★★☆☆ on 映画 : 2005年11月26日 00:35
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