2006年05月22日
「Over The Hedge」 子供アニメのくせに、不動産バブル時代の皮肉が利いたシャープな笑い
もちろん、ホントは「ダ・ヴィンチ・コード」を見たかったのですが、結局週末は息子とその友達を連れて、ドリームワークスの新作アニメ、「Over The Hedge」を見るはめになりました。
最近、やたらと動物のCGアニメが多い中、この作品は前評判が高かっただけあって、子供のお供で仕方なくチケット代を払う大人にもサービス満点です。メインの主人公だけでなく、動物たち皆のキャラがそれぞれに際立ち、それぞれが動物たちの策略や予期せぬ事態の打開策の中で、それぞれに役割を担っていくというキメ細かいプロット、そして極めつけ「悪役」キャラが不動産屋の女性というのが、最近のアメリカの状況をするどく皮肉っていて、大笑いしてしまいました。
アメリカはここ数年、景気はあまりよくないのに不動産だけが上がり続けるという、不動産バブルが続いています。バブルに乗って山林を切り開き、最近流行のスタイルの住宅が次々と建てられ「サバービア」(郊外)となっていく風景。それをがんがん売りまくる妙に派手ないでたちのハイパワー女性不動産屋。動物の被害で家の値段が下がってしまうことをやたら気にする住民たち。こんな物語の背景は、ピカピカで高価な住宅に手が出なくなってしまった多くのアメリカ人には身近な話題であり、かく言う私も、こうした風潮に動物たちが逆襲するお話に思わず快哉を叫びたくなってしまいました。
もちろん、どんどん進化するCGIは相変わらずすごく、動物たちのつややかな毛並みがキレイです。それに、ブルース・ウィリス、ニック・ノルティ、アヴリル・ラヴィーンや、あの「サイドウェイズ」のトーマス・ヘイドン・チャーチなど、有名人いっぱいの声の出演も楽しく、大人の私の目から見ると、「インクレディブルズ」や「チキン・リトル」などの最近の人気CGアニメと比べても、一番と言えるぐらいの面白さでした。そして子供たちには、かわいらしい動物のキャラや、大げさに衝突したり爆発したり、地球の回転が止まったりするお笑い表現などに加え、ヒップホップ調のオネエ・スカンク、ゲームに熱中するハリネズミの子供たちの活躍など、今風の身近さとシャープさがウケていたようです。
子供たちの見ているこうしたアニメ映画やテレビ番組を見ていて、宮崎駿の「ハウルの動く城」が昨年アメリカではあまり受けなかったのが、仕方ないかな、と思えてしまいます。アンデルセン童話的な、白人だけが登場するヨーロッパ的なメルヘンの世界というのは、今のアメリカ人の子供や若者には、共感もあこがれも得られないのではないかという気がします。ジブリ次回作、宮崎吾朗の「ゲド戦記」も、私の見ている英語メディアでは、「白人ばかりのヨーロッパ仕立てで新味がない」という評を見かけます。日本ではまだまだそういった世界を憧れをもって見るのだと思いますが、アメリカのマーケットの好みとずれてきてしまっているような、そんな気がして、心配です。
「Over The Hedge」 子供アニメのくせに、不動産バブル時代の皮肉が利いたシャープな笑い on アメリカ映画 : 2006年05月22日 12:45
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