2006年11月09日
「バベル」届かない言葉、甦る絆
菊池凛子さん@ロサンゼルス
このところ、「日本語ブログ界のスティーブ・ジョブス」(シリコンバレーとハリウッドを両方カバーする、ってだけです・・)を目指しているのですが、根がハイテクおたくの私にはその道はなかなか厳しいのが現実・・・
と言いつつ、先週の週末から今日まで、ロサンゼルスで開催されている「American Film Market (AFM)」を取材してきました。国際的な映画の見本市で、アメリカだけでなく世界各国から、数多くの映画が出品され、バイヤーと販売交渉をする場です。
こちらの話は、後ほど英語の記事で詳しく書きますが、そのついでに、昨夜はロスのUSジャパン・ソサエティという非営利団体主催の「バベル」上映会があり、出かけてきました。ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットが主演、日本編には役所広司さんも出ているのですが、今年のカンヌ映画祭に出展されたということで、私的にはニガテな、難し~い芸術映画ではないかと恐れおののいておりました。(たしか先週末からアメリカでの一般公開も始まっています。)
上映前にちょっとしたレセプションがあり、そこにはなんと、東京編の主役ともいえる菊池凛子さんがいらしていました!すらりと背が高く、華やかな日本人離れした大人っぽい顔に見えたのですが、なんと映画の中では、モロに日本の女子高校生、しかも聾唖という役柄で、言われなければこの人とはとても思えませんでした。いやー、役者さんって、すごいですね!
映画は、モロッコ、アメリカとメキシコの国境、それに東京という、3大陸のはるか離れた土地で、一台のライフル銃が次々と引き起こす悲劇を描いています。菊池さんはご挨拶の中で、「コミュニケーションができないことを描いている」と仰っていましたが、確かに主なテーマは、「届かない言葉、伝えたくても伝わらない悲しさ」ということのように思いました。言葉の通じない異国、というだけでなく、夫婦や親子の間で気持ちが通じていなかったり、権力をもつ立場の人にいくら言ってもわかってもらえなかったり、耳が聞こえず話ができない女の子の悲痛なフラストレーションだったり、といったいろいろな「ミスコミュニケーション」が出てきます。
悲しくつらい出来事がつぎつぎ起こるのですが、そんな中でわずかに残った希望の絆が甦っていく。「バベル」というのは、旧約聖書の中で、神に届くほどの高い塔を建てようとした人々が、神の怒りに触れてお互いに言葉が通じなくなってしまう、というお話の中の塔の名前ですが、あらゆる悪いものが出てしまったあとに、最後に希望が残った、ギリシア神話の「パンドラの箱」のようでもあります。
その場で見た人何人かと話しましたが、東京編の描写は、外国人の監督が撮った日本としては、おそらくベストといえると思いました。偏らず、とても自然な東京と日本人だったと思います。それぞれの場面にあった音楽が流れますが、最後の印象的な東京の場面は坂本龍一さんの物悲しいピアノ曲。陳腐な東洋風の音楽でなく、あの曲を使ってくれたのも嬉しかったです。意外な場面の展開、役者さんたちの演技も含め、美しい映画でした。
菊池凛子さんの演技も、すばらしかったと思います。今、英語も勉強中とか。是非、世界で活躍していただきたいと思います。
「バベル」届かない言葉、甦る絆 on アメリカ映画 : 2006年11月09日 15:40
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.unoh.net/umt/unoh-mt32-ja-tb.cgi/1964


