2007年02月10日
「セーラー服と機関銃」 手作り英語字幕初体験!
お久しぶりです。昨夜は「セーラー服と機関銃」の手作り英語字幕操作の初体験!なかなか面白い体験でした。
は?何のこと?ってこれだけ言ってもわかんないですよね・・
話せば長いことながら、そもそも、いつもお世話になっているジャパン・ソサエティ・ニューヨーク(JSNY)から話を始めないといけません。JSNYは立派な自前の劇場を持っていて、そこでときどき日本映画の上映もやります。上映される映画は、テーマに沿ったシリーズだったりそうでなかったり、いずれにしても、キュレーターの人が選んで、映画会社と交渉して権利を獲得し、お金を払って、送料も負担して、字幕のついたフィルムを送ってもらい、そして上映するわけです。
これだけでもかなりの手間とお金がかかりますが、字幕つきフィルムのない映画というのも多数あります。これまでは、字幕のない映画は上映できませんでしたが、それであきらめるのはもったいない、と、JSNYでは、自前のスタッフがセリフを翻訳して、手作りの字幕を作ることを始めました。パワーポイントで、黒の地に白抜きで英語の字幕を入れ、これを映画の画面に別のプロジェクターで重ねて映すのです。パワーポイントは、通常のプレゼンテーションをするのと同じように、人の手で、一枚一枚、矢印ボタンを押してめくっていきます。
字幕をフィルムに焼きこむのに比べたら、圧倒的に低コストで済みます。ただし、手間がかかるので、一般の商業上映ではちょっと無理でしょう。JSがやるのは特別上映イベントですので、数回程度でしたら、スタッフが頑張ってやる、という感じですね。
さて、これに加えて、JSNYでは、「全米巡業興行」という試みを昨年から始めました。上記のように、かなりの手間をかけてせっかくアメリカに持ってきたフィルムなので、NYだけで見せるのはもったいない、他の地区でも見られるように、各地の非営利団体にまわして、映画を上映してもらおう、というプロジェクトです。JSNYでは、以前から舞踏や演劇などのパフォーミング・アーツではこういうやり方をしていましたが、映画では初めての試みです。各地の団体は、上映料金は直接権利元に払う必要がありますが、日本から持ってくる送料を大幅に節約でき、またこの「手作り字幕」を利用することができるわけです。
「巡業興行」の第一弾が、NYで昨年11月に上映された「Lolita in Full Bloom」という、80年代のヒロイン映画シリーズです。NYで5-6本上映したうち、サンフランシスコのYerba Buena Center for Artsでは、「セーラー服と機関銃」「台風クラブ」「転校生」の3本を上映することになりました。そのうち、80年代ヒロイン映画といえばなんといっても最高峰の「セーラー服」は、字幕がありません。(このため、過去にアメリカで上映されたことはありませんでした。)
それで、パワポ字幕操作が必要になりました。これはセリフを聴きながらそれに合わせてページをめくっていくので、日本語がわかる人でないとダメなのですが、サンフランシスコのYBCAでは日本語のわかるスタッフがいない、ということで、JSNYから私に「手伝ってくれない?」というお声をかけていただいたのでした。
何度か練習し、YBCAで月曜日にテストランをしましたが、パワポのpresenter's viewという機能が使えなくて、立ち往生。これがないと、次にボタンを押すタイミングの日本語セリフがわからず、操作がとても難しくなります。最悪の場合を想定していろいろ用意していましたが、直前になってなんとかこの問題をクリアして、上映開始。
登場人物が二人でかわるがわる対話しているところはわりと簡単なのですが、大勢がわーっと話しているところや、しばらくセリフのない場面が続いたあとなどが、間違えやすく気を使います。ワーッと話しているところは、まぁちょっとタイミングが遅れても見ている人は日本語どーせわからないので、それほどダメージがないのですが、今回は一回だけ、セリフのない場面のあと、間違ったボタンを押して前に戻ってしまうという失敗をやらかしてしまいました。見ていた人は、「わからなかった」といってくれましたが・・・(恥)
とにかくタイミングをあわせることが一番のポイントです。特にあの有名な決めゼリフ、「カイカン・・」は、しばらく無音が続いたあとなので、タイミングを間違ったらズッコケものです。練習の甲斐あり、本番ではタイミングばっちりで、会場からは笑い声がタイミングよくあがり、ほっと一安心でした。
それと、家で練習しているときは、ゆったり椅子に座って作業にちょうどよい机でやりましたが、狭い映写室の片隅で、高めの作業台にむりやり場所をつくってパソコンを置いて、座りにくい高い椅子で作業をしていると、肩がこって指がしびれてきます。セリフのない場面でストレッチしたりマッサージしたりしてしのぎましたが、いろいろあるもんですねぇ。(ちなみに、パワポは全部で1200枚あります。2時間弱の間、ひたすら1200回、ボタンを押し続けるわけです・・・)
今回、「字幕のアート」というのもいろいろ勉強しましたし、なんせ映写室にはいるのも初めてだったので、35mm映画の映写機ってあんなに大きいんだ!とか、映画一本って、フィルム一本じゃないんだ!途中で何度もフィルムを切り替えるんだ!だから映写機が二台あるんだ!などと、きわめて初歩的な驚きいっぱいの、とても新鮮な経験でした。
この字幕方式は、JSNYが独自に開発した方式で、今回上映を手がけたサンフランシスコのスタッフは、「これで、字幕のない映画もアメリカで見せることができるわね!」ととても喜んでいました。
YBCAの劇場は100人弱程度の小さい劇場ですが、新しい建物だしゆったりした椅子のきれいなところで、今回の上映ではほぼ満席の盛況でした。最後に、字幕操作のボランティアとして私も紹介していただき、(何回かまちがったにもかかわらず)暖かい拍手をいただいて、楽しい経験でした。
今後も、こうして今までアメリカで見られなかった日本映画を見せる機会があるといいな!と思いつつ、「また日本語字幕操作が必要だったら言ってくださいね!」とお願いして、劇場をあとにしました。
「セーラー服と機関銃」 手作り英語字幕初体験! on 邦画セントラル : 2007年02月10日 11:15
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コメント
素晴らしいですね。是非次は寅さんを。アメリカ在住の私は是非日本紹介のため出来たら第34話などを各国から来ている友人に見てもらいたいと思うですが、netflixに無く諦めている状態です。たそがれ清兵衛はあるので紹介できましたが。
投稿者 tosh : 2007年02月10日 19:21
寅さん、やってほしいですねぇ。ロスの映画ライターの人も、アメリカ人の映画通が「是非寅さんを見てみたい」といつも言っているので、寅さん持ってきてほしいなー、とかねがね言っています。「たそがれ」のおかげで山田監督はすっかり有名になっていますしね。
投稿者 Michi : 2007年02月11日 06:24
こんにちは。手作りの字幕作成法、アイデアですねえ。
ところで、字幕の切り替えは手動ではなくタイマー仕掛けで自動的に切り替わる、という機能を利用してはどうでしょうか。最初の方であわせておけば、あとはタイミングよく行くのではないかと思いました。
投稿者 すずき : 2007年02月11日 13:33
JSNYの話では、自前だとフィルムのほうにもタイミングがはいっておらず、完全にあわせるのは難しいと言っていました。今回やってみた感じでも、フィルムを切り替えるときなどに、微妙なずれが生じそうな気がします。
投稿者 Michi : 2007年02月12日 08:08



