検索



 

ジャンクションより RSS

ネットとシネマ、日本とアメリカの合流点から映画を語る



2007年6月15日

「明日の記憶」米国公開中

渡辺謙さん主演の昨年の邦画、「明日の記憶」(英語題:Memories of Tomorrow)が現在米国公開中です!

一度に一ヶ所ごとの巡業興行みたいな感じですが、とにかく公開されればじきDVDになって、オンラインレンタルのNetflixでレンタルもできるし、多くの人がアメリカで見てくれると思うと、楽しみです。

今ちょうど、先日ご紹介した「パプリカ」も同じような規模で米国の劇場で公開中。昨年日本アカデミー賞などを総なめにした「フラガール」も公開予定のようですし、Netflixではオダギリジョー主演の「蟲師」がもう予約できるようになっています。「リンダ、リンダ、リンダ」や「茶の味」もすでにDVDになっていて、Netflixで借りられます。

このところ、芸術映画とサムライもの以外の日本映画も、だいぶ米国で見られるようになってきて、とても嬉しいです。特に、「明日の記憶」や「フラガール」などは、全くこれまでは米国では公開されないタイプの、(ヘンな言い方ですが)「マニアでなく普通の人が見る映画」なので、関係各所のご尽力や、渡辺さんのご努力に感謝したい気分です。

その渡辺謙さんが、「明日の記憶」公開にあたって、ロスでインタビューに答えてくださった素材(Hollywood Newswireのはせがわいずみさんご提供)をもとに、英語で記事を書いていますのでよろしければご覧ください。ご自身が病気で苦労された経験を背景に、この映画をいかに大事に思い、大事に作って宣伝したかを語られていて、感動的です。

Hoga Central 渡辺謙インタビュー記事
HollywoodNewswire

「明日の記憶」米国公開中 on 邦画セントラル : 00:58 | コメント (0) | トラックバック

2007年5月 4日

サンフランシスコ映画祭 その1

日本はゴールデンウィークですね。サンフランシスコでは、先週から「サンフランシスコ国際映画祭」というのをやっています。

まぁ、国際とは言うものの、カンヌみたいな有名なものではなく、地元のお祭り、なんですが、今年50周年という、由緒あるお祭りです。この映画祭が始まった頃というのは、アメリカではマッカーシズムの時代で、海外のやや左よりの思想も含む映画を上映するという、時の体制に抵抗する意味合いがあったそうです。「反体制」の伝統が強いサンフランシスコらしい話です。こういう話を聞くと、その後アメリカで外国映画がパージされてしまったのは、もしかしたらそういう歴史があったのかもしれない、と思います。

今年は残念ながら日本映画の上映は少なく、「花よりもなほ」「パプリカ」とあとホラー映画「Ghost Train」(日本題がわかりません・・)ぐらい。それにしても、アメリカ映画と他の外国映画もたーくさん出品されていて、カタログを見ても私にはどれがなにやら、さっぱりわかりません。きっとよい映画がたくさんあるんだろうに・・やっぱり、映画の世界って、ワインみたいですよね・・ある程度わかっていないと楽しめない・・みたいな。

で、「花よりもなほ」を昨夜見てきました。予想以上に面白かった!会場は大きな映画館でしたが、客席は満席。あちこちで笑いの渦が巻き起こり、エンドマークでは大きな拍手でした。このところ、レンタルで、やたら最後に人が死ぬお涙頂戴邦画ばかり見て辟易していたので、私にはこういう映画のほうがいいな・・と思いました。そして、この映画の描く、「自分の中の憎しみを赦しに変える」「仇討ちばかりが人生じゃない」「復讐の悪循環を止める」という思想が、現政権のイラク戦争政策に反対する、「反戦のサンフランシスコ」の知識層には受け入れやすいのでは、とも感じました。

見終わって外に出ると、次に上映予定の「パプリカ」のキャンセル待ちの大行列ができていました。あれは、少なくとも200人ぐらいは並んでいたと思います。私も本当は「パプリカ」が見たかったのですが、一回しか上映がなく、チケットがとれずあきらめたのでした。すごい人気だな・・・

サンフランシスコ映画祭 その1 on 邦画セントラル : 00:44 | コメント (2) | トラックバック

2007年2月10日

「セーラー服と機関銃」 手作り英語字幕初体験!

お久しぶりです。昨夜は「セーラー服と機関銃」の手作り英語字幕操作の初体験!なかなか面白い体験でした。

は?何のこと?ってこれだけ言ってもわかんないですよね・・

話せば長いことながら、そもそも、いつもお世話になっているジャパン・ソサエティ・ニューヨーク(JSNY)から話を始めないといけません。JSNYは立派な自前の劇場を持っていて、そこでときどき日本映画の上映もやります。上映される映画は、テーマに沿ったシリーズだったりそうでなかったり、いずれにしても、キュレーターの人が選んで、映画会社と交渉して権利を獲得し、お金を払って、送料も負担して、字幕のついたフィルムを送ってもらい、そして上映するわけです。

これだけでもかなりの手間とお金がかかりますが、字幕つきフィルムのない映画というのも多数あります。これまでは、字幕のない映画は上映できませんでしたが、それであきらめるのはもったいない、と、JSNYでは、自前のスタッフがセリフを翻訳して、手作りの字幕を作ることを始めました。パワーポイントで、黒の地に白抜きで英語の字幕を入れ、これを映画の画面に別のプロジェクターで重ねて映すのです。パワーポイントは、通常のプレゼンテーションをするのと同じように、人の手で、一枚一枚、矢印ボタンを押してめくっていきます。

字幕をフィルムに焼きこむのに比べたら、圧倒的に低コストで済みます。ただし、手間がかかるので、一般の商業上映ではちょっと無理でしょう。JSがやるのは特別上映イベントですので、数回程度でしたら、スタッフが頑張ってやる、という感じですね。

さて、これに加えて、JSNYでは、「全米巡業興行」という試みを昨年から始めました。上記のように、かなりの手間をかけてせっかくアメリカに持ってきたフィルムなので、NYだけで見せるのはもったいない、他の地区でも見られるように、各地の非営利団体にまわして、映画を上映してもらおう、というプロジェクトです。JSNYでは、以前から舞踏や演劇などのパフォーミング・アーツではこういうやり方をしていましたが、映画では初めての試みです。各地の団体は、上映料金は直接権利元に払う必要がありますが、日本から持ってくる送料を大幅に節約でき、またこの「手作り字幕」を利用することができるわけです。

「巡業興行」の第一弾が、NYで昨年11月に上映された「Lolita in Full Bloom」という、80年代のヒロイン映画シリーズです。NYで5-6本上映したうち、サンフランシスコのYerba Buena Center for Artsでは、「セーラー服と機関銃」「台風クラブ」「転校生」の3本を上映することになりました。そのうち、80年代ヒロイン映画といえばなんといっても最高峰の「セーラー服」は、字幕がありません。(このため、過去にアメリカで上映されたことはありませんでした。)

それで、パワポ字幕操作が必要になりました。これはセリフを聴きながらそれに合わせてページをめくっていくので、日本語がわかる人でないとダメなのですが、サンフランシスコのYBCAでは日本語のわかるスタッフがいない、ということで、JSNYから私に「手伝ってくれない?」というお声をかけていただいたのでした。

何度か練習し、YBCAで月曜日にテストランをしましたが、パワポのpresenter's viewという機能が使えなくて、立ち往生。これがないと、次にボタンを押すタイミングの日本語セリフがわからず、操作がとても難しくなります。最悪の場合を想定していろいろ用意していましたが、直前になってなんとかこの問題をクリアして、上映開始。

登場人物が二人でかわるがわる対話しているところはわりと簡単なのですが、大勢がわーっと話しているところや、しばらくセリフのない場面が続いたあとなどが、間違えやすく気を使います。ワーッと話しているところは、まぁちょっとタイミングが遅れても見ている人は日本語どーせわからないので、それほどダメージがないのですが、今回は一回だけ、セリフのない場面のあと、間違ったボタンを押して前に戻ってしまうという失敗をやらかしてしまいました。見ていた人は、「わからなかった」といってくれましたが・・・(恥)

とにかくタイミングをあわせることが一番のポイントです。特にあの有名な決めゼリフ、「カイカン・・」は、しばらく無音が続いたあとなので、タイミングを間違ったらズッコケものです。練習の甲斐あり、本番ではタイミングばっちりで、会場からは笑い声がタイミングよくあがり、ほっと一安心でした。

それと、家で練習しているときは、ゆったり椅子に座って作業にちょうどよい机でやりましたが、狭い映写室の片隅で、高めの作業台にむりやり場所をつくってパソコンを置いて、座りにくい高い椅子で作業をしていると、肩がこって指がしびれてきます。セリフのない場面でストレッチしたりマッサージしたりしてしのぎましたが、いろいろあるもんですねぇ。(ちなみに、パワポは全部で1200枚あります。2時間弱の間、ひたすら1200回、ボタンを押し続けるわけです・・・)

今回、「字幕のアート」というのもいろいろ勉強しましたし、なんせ映写室にはいるのも初めてだったので、35mm映画の映写機ってあんなに大きいんだ!とか、映画一本って、フィルム一本じゃないんだ!途中で何度もフィルムを切り替えるんだ!だから映写機が二台あるんだ!などと、きわめて初歩的な驚きいっぱいの、とても新鮮な経験でした。

この字幕方式は、JSNYが独自に開発した方式で、今回上映を手がけたサンフランシスコのスタッフは、「これで、字幕のない映画もアメリカで見せることができるわね!」ととても喜んでいました。

YBCAの劇場は100人弱程度の小さい劇場ですが、新しい建物だしゆったりした椅子のきれいなところで、今回の上映ではほぼ満席の盛況でした。最後に、字幕操作のボランティアとして私も紹介していただき、(何回かまちがったにもかかわらず)暖かい拍手をいただいて、楽しい経験でした。

今後も、こうして今までアメリカで見られなかった日本映画を見せる機会があるといいな!と思いつつ、「また日本語字幕操作が必要だったら言ってくださいね!」とお願いして、劇場をあとにしました。

「セーラー服と機関銃」 手作り英語字幕初体験! on 邦画セントラル : 11:15 | コメント (4) | トラックバック

2006年12月31日

韓国映画業界の悩みと「邦画ブーム」

日本ではもう大晦日ですね。今年は、日本の映画業界は「邦画ブーム」に湧き、英語で日本映画のニュースをブログっている私にはとても嬉しいニュースが多かったのですが、最後に来て、期待を集めていた正月邦画がいくつか連敗してしまいました。

「2006年を振り返る」みたいな記事が年末たくさん出た中で、「邦画ブーム」について、「全体的にはよかったのだが、心配のタネがいくつかある」というコラムが、日経新聞などいくつかで出ていたのを読みました。「まぁ、こういう記事を書くときの定石の書き方だナ」と思っていたら、年末に期待作がいくつかコケたのを見て、うーむ、新聞記事も侮れない・・・と思い直しました。

それで、その話を英語の映画ブログに書いたところ、それを取り上げてくださった英語ブログがありました。韓国に住む英語系の方による、韓国映画や韓国ポップカルチャーに関するブログです。韓国映画は、売上げは伸びているものの、「心配のタネを宿した繁栄」である、との記事で、「日本でも似たような懸念があるらしい」ということで、私のブログ記事を参照してくださいました。原典は下記のとおりです。

Korean Pop Wars

ここに書かれている懸念とは、(1)少数の超大作のヒットで全体の売上げは増えているものの、中程度の作品はそれほど増えていない、(2)このため、劇場では限られた大作を取り合い、中小規模の作品が追いやられてしまう傾向が出てきた、(3)そのため、売上げで上位2作を除いた売上げ規模の変化を見ると、ここ3年で減少傾向がある、(4)にもかかわらず、作られる作品数は年々増えており、供給過剰の中で低品質の作品も増えている、といった趣旨です。ただ、こうした問題は、自然淘汰によって解決されていき、パイが大きくなった結果として「多様性」が増すことで、長期的にはよりよい状況になっていくと思う、とこの筆者(マーク・ラッセルさん)は書いておられます。

私の邦画に関する記事では、そこまできちんと分析していないし、また邦画はその段階までまだ達していないと思うのですが、私の記事の中では(1)供給過剰の懸念、(2)超大作に中小作品が押し出されてしまう懸念、(3)商売第一の中で、リスクを恐れて、続編などの無難なものが増える傾向、というのを指摘しており、はからずも韓国の状況と重なる部分がかなりあるようです。

日本映画に関しても、「日本映画制作者連盟」の統計データが出たら、このブログと同じ数量分析を試しにやってみようと思います。将来展望については、私など素人にはわかりませんが、このマーク・ラッセルさんのような(アメリカ人かどうかは不明なのですが)「アメリカ的な楽観主義」は大好きなので、私も日本映画に関しては、そう思っていようと思います。

韓国映画業界の悩みと「邦画ブーム」 on 邦画セントラル : 13:06 | コメント (1) | トラックバック

2006年12月 3日

アメリカ映画見本市レポート

こちらではお知らせするのが遅れてしまいましたが、11月の初めにロサンゼルスの美しいサンタモニカ・ビーチで開催された、アメリカン・フィルム・マーケット(AFM、映画の見本市)で取材したレポートを、慶応大学デジタル・メディア研究機構の英文ニュースレターに寄稿いたしましたので、ご興味のある方は下記をご覧ください。

DMC Review Online

今回は、一般的に低調と評されていましたが、日本勢は頑張ってずいぶんたくさんの作品を出品しておりました。私は、見たくてもなかなか見られなかった邦画をたくさん見られて、幸せいっぱい!でございました。ここで取り上げた、「DEATH NOTE」と「フラガール」が特に印象に残りましたが、このほか、「嫌われ松子の一生」や、まだ日本でも公開されていない周防正行監督の「それでもボクはやってない」なども好きでした。他にも見たいものがいっぱいありましたが、残念ながらスケジュールの都合で全部は見られませんでした。

私は映画そのものの専門家ではないので、映画の中味に関する評価はできず、記事はもっぱら、最近の日本映画の興隆ぶりと、その背景を、本職である「経営コンサルタント」の視点で、業界分析のつもりで書きました。私の知る限り、こうした話はあまり英文メディアでは見たことがないので、なるべく多くの海外の方に読んでいただけたら嬉しいと思っています。

それにしても、今日は日経新聞にまで「邦高洋低」という記事が載っていましたが、このところ洋画で見たいのがほんとに少ないですね・・・亭主が日本出張から帰ってきましたが、飛行機の中で洋画で見たいのが全然なく、日本や韓国の映画ばかり見ていた・・と言っておりました。アメリカの映画業界が低調なのも無理ありませんが、自動車や家電と違い、そういうときに「海外からの競争」というのが入ってきません。アメリカの映画業界は、あらゆる「非関税障壁」があるので、外国映画のはいる余地がほとんどないのです。これって、アメリカの産業にとってもあまりよいことではないのでは?と思っている今日このごろです。

アメリカ映画見本市レポート on 邦画セントラル : 04:28 | コメント (0) | トラックバック

2006年9月21日

「電車男」アメリカ公開特集記事!

今週後半から、アメリカで「電車男」が劇場公開されます。この配給を手がけたのは、長年にわたって米国で「少年ジャンプ」などのマンガやアニメを販売してきた会社の兄弟会社、Viz Picturesです。

Viz Picturesの創業者、堀淵清治さんにインタビューできましたので、電車男の情報も入れて、「邦画セントラル」に掲載いたしました。

堀淵さんは、長年のマンガ業界での経験から、こうした日本のマンガやアニメに親しんで育ってきた若いアメリカ人が、日本のポップカルチャーに自然に興味を持っていて、こうしたファンの方たちにもっと日本の面白いものを提供していきたい、と抱負を語っておられます。現在、サンフランシスコの日本町には、なんと日本映画専門の映画館まで建設中とか。

サンフランシスコやシリコンバレーに数多い起業家たちと同じように、はっきりしたビジョンと、苦労して自らの手で築き上げてきたものへの自信に裏打ちされた、興味深いお話でした。まだまだ小さいニッチに過ぎない、アメリカの日本映画ファンを広げていくために、せっかくこちらでは受け皿ができたのだから、もっと日本の映画会社が積極的になってくれたらいいのに、とお話を伺っていて思いました。

いつものように英語の記事で恐縮ですが、こちらをお読みください。

邦画セントラル - 「電車男」米国公開特集

「電車男」アメリカ公開特集記事! on 邦画セントラル : 01:20 | コメント (3) | トラックバック

2006年8月16日

「あずみ」米国公開と「チャン・ツィイー症候群」

K&Y.jpg

2003年に日本で公開された異色時代劇「あずみ」が現在米国公開中です。(私はマスコミじゃないので、「全米公開」とはとても恥ずかしくて言えません。米国内数ヶ所で、ね・・・)

いつものように、はせがわいずみさんから素材提供を受けて、北村龍平監督と山本又一郎プロデューサーの米国公開にあたってのインタビュー記事を英語で書きました。私にとっては、意外というか、目を覚まされた感じの面白いお話が多くあり、なかなか削れなくて長くなってしまいましたが・・・

邦画セントラル「あずみ」インタビュー記事

この映画、日本でもそれほど大ヒットしたわけでもなく、「映画生活」のユーザー評を読んでも賛否両論というか、かなり辛口のものが多いように思います。実際、映画を見ましたが、確かに上戸彩をはじめとする刺客グループの演技や殺陣がダメだとか、ボウケンジャー」チックなキャラクターが唐突だとか、冗長なテンポの割りに話が急ぎすぎだとか、皆さんの批評に賛成なところも多かったです。

ただ、監督のインタビューを読んで、なるほど、と思いました。特に批判の多い殺陣については、確かに、この映画の企画が始まったのはおそらく2001~2年頃だと思いますが、まだ「たそがれ清兵衛」公開前で、そのあたりから始まった「時代劇再評価」の動きが始まる前のこと。10年だか20年だかにわたって、まともな時代劇映画、特に殺陣を必要とするようなチャンバラ映画というのはすでに作られることがなく、俳優さんたちも、殺陣の練習などする必要はなくなって久しかったわけです。特に、女優がチャンバラをできる必要など全くなく、下手にあちこち筋肉がボコボコつくようなアクションの練習など、好んでする人はいなくて当然です。(昔までさかのぼっても、「アクション女優」といえるような女優さんって、志穂美悦子さんぐらいしか思いつきません・・)だから、そのこと自体を批判しても始まりません。むしろ、だからこそこれを今やらなきゃ、アクション俳優も育たないし、いつまでたっても香港に勝てない、という監督の意気込みは、尊敬に値すると感じました。

それでも、やはり結果が出ないとお客さんは許してくれませんよね。アジア系アクション女優といえば、アメリカではなんといってもチャン・ツィイーです。というか、彼女が唯一、名前と顔の売れたアジア人女優です。だから、これも批判の多かった「SAYURI」の主役も彼女がやらされてしまうことになったワケですが、米国公開となると、「あずみ」のチャンバラも、きっと見る人は、彼女とついつい比べてしまうことでしょう。というのは、「あずみ」を見たいと思うファン層は、いわゆる「アジア・武術映画ファン」とくくることができ、ツイィーを見慣れている人たちだからです。これはキツイですよね・・・私が読んだ、新聞の短い批評でも、やはり上戸さんのアクションが槍玉にあがっていました。

偶然、最近借りて見た「SHINOBI」では、主演の仲間由紀恵さんが、ヘアスタイル・表情・衣装までなんとなくツィイー風にしていて、「げぇ~、そっくり!」と時々思ってしまったのは、偶然でしょうか???仲間さん、キレイでミステリアスで、好きでしたけど。

アメリカで、日本映画をかげながら応援したいと思う私ですが、日本映画というといまだに昔のチャンバラ・忍者アクションの印象が残って「アジア武術映画」にくくられがちというか、そこにわずかなニッチを見出さざるを得ないというのがいまだに現実。それができる俳優の層が薄くなっている日本で、チャン・ツィイーと競争していかなければならない、という厳しい現実があるんだろうな・・・と、北村龍平監督のインタビューを読んでいて思いました。

「あずみ」米国公開と「チャン・ツィイー症候群」 on 邦画セントラル : 01:56 | コメント (0) | トラックバック

2006年6月22日

「Always - 三丁目の夕日」山崎貴監督インタビュー!

前回お知らせしましたとおり、ニューヨークでの「Always - 三丁目の夕日」山崎監督のインタビューを本館Hoga Centralに掲載いたしました!

Hoga Central

いろいろと面白いお話が聞けましたよ~。前回も書いた、舞台挨拶での「自分はVFX出身監督なので、すぐ裏口入社みたいに扱われるのがいやで、そろそろ一人前の監督として扱ってもらいたいんだけどなー・・・」発言は、インタビューでも飛び出しました。

キャスティングの話も、いろいろ伺いました。私のサイトには、個別の俳優・監督さんの紹介ページがあるのですが、そこで常にヒット数上位に出てくるのが小雪さん。「ラストサムライ」で固定ファンをつかんだ後、英語圏では全くニュースも出ないため、細々と小雪さんの新作情報やCM登場情報をアップしている私のサイトに、ファンの方が来て下さるようなのです。それで、キャストの話は、小雪さんを中心に伺いました。

昭和の雰囲気満載の映画の中で、現代的で洗練された雰囲気の小雪さんはやや異質の感じがしますが、どういったお考えで小雪さんを選ばれましたか?
「小津映画に出てくる原節子さんは、その当時の日本にはゼッタイいなかったような、"this is 女優"みたいな、日本人離れした雰囲気を持っていますが、そういった存在を狙いました。三丁目というユートピアに現れた異質な存在、そして彼女が街を歩くだけで人々が振り返るような、そんな立場の違いを表現したかったのです。」

日本アカデミー賞を独占されましたが、日本テレビがバックについていることで、「今回は間違いない」と思われていましたか?
「いいえ、よく聞かれるんですが、そういうことはないんですよ。日テレの人から、『取らせられるもんなら、取らせてやりたいけどなー』と聞いてました。日テレは決定の過程には関われないと聞いています。そうでないと、他のテレビが投資している作品がはいってくれません。ただ、従来はメンバー投票である程度絞ったあと、主要映画制作会社が集まって、あまり一作や一社に集中しないようにサジ加減をしていたのを、今年はそれをほとんどせず、投票の比重をすごく大きくしたらしいんです。その結果、逆に賞が集中してしまったらしいです。」

お得意のVFXですが、従来のSF作品とは違う今回の作品でご苦労されたことは?
「僕は、ド派手なSF的VFX大好きなんですが、どうも最近、そういうのは観客に飽きられてきたと思っていた。例えば、『キングコング』なんて、技術的にはすごいことをやっているんだけど、こういうのを今やる意味ってあるのかな?と思ってしまう。CGが主役になっていることが多いけれど、CGもそろそろ円熟して、いい役者にはなってきたけど、味のあるバイプレイヤーになる時期だと思うんです。

この作品は、CGじゃないとできないにもかかわらず、CGがキライな世代が対象で、そういう団塊の世代の人たちに『こいつだけは違う』といわせなければならない、というプレッシャーがありましたね。」

どういった作り方を?
「全体的にミニチュアを多く使い、それを撮影してサンプルとして使ってCGに合成することをやりました。セットも大掛かりで、家並みは東宝の一番大きいスタジオ、大通りは館林の使っていないセスナ飛行場を使いました。路面電車はCGですが、人が乗り降りするところは、博物館にあるホンモノ。

汽車が大変だったんですよ。阿部プロデューサーと日テレの奥田プロデューサーが、二人揃って『テッチャン』なもので、『この時代の集団就職の人たちはC62で来たんだから、どうしてもC62じゃないと、映画つくんないよ』って肩組んで言うんですよ。(笑)動くものが京都の鉄道博物館にあったので、その博物館に駅のセットを組んで、人が乗り降りするところを撮影しました。鉄橋の場面では、精巧なミニチュアを持っているマニアの人から借りました。古く見せるためにちょっと汚れをつけるんですが、きれいにして返そうと思っていたら、持ち主の人が気に入って、そのままでいいと言ってくれました。その方は、今自分の家に『Always』モデルのC62があって、映画で自分のミニチュアが活躍したといって、すごく喜んでくれました。」

この映画は、日本人のノスタルジアをかきたてますが、アメリカ人にはわからないのでは?という疑問をもつ人もいますが、どう思われますか?
「ちょっと心配してましたが、前にイタリアで上映して反応がよかったので、あまり心配していません。違う文化の人にも受け入れてもらえると思います。まぁ、わかんないですけどね。(笑)」

そして、監督のおっしゃるとおり、ニューヨークでもアメリカ人の観客にも大うけでした。上映後、レセプションでアメリカ人に、上記の点を聞いて見ました。そうしたら、「ディテールは日本独特なこともあるけど、全体的には、1950年代のブルックリン、と置き換えても十分理解できる。昔は生活がシンプルだった。それに、人が人を大切にすることや、家族の愛情や、そういったところは世界共通だと思う。」と答えてくれました。

「Always - 三丁目の夕日」山崎貴監督インタビュー! on 邦画セントラル : 10:35 | コメント (0) | トラックバック

2006年6月15日

「Always三丁目の夕日」ニューヨークで大好評!

今週から、ニューヨークでSubway Cinema主催のNew York Asian Film Festivalが始まりますが、そのキックオフとして、ニューヨーク・ジャパン・ソサエティと共同で、本日「Always三丁目の夕日」が上映されました。この作品は米国ではこれが初の上映で、場所は国連本部のすぐ近くにあるジャパン・ソサエティ本部。アメリカでは、マニア向けアート系の邦画ばかりがやってきて、こうした日本で大衆的人気のある映画が上映される機会がほとんどないので、貴重なチャンス。私は、わざわざ大陸を横断して、ニューヨークまで行き、上映会に出席しました。

ジャパン・ソサエティでも、しばしば日本映画の上映を行っていますが、今回は、当日になる前にチケットが完売、さらに当日券を求めて入りきれない人が建物の外に延々と列を作る、という、異例の事態でした。観客は、日本人が半分よりちょっと多い、という感じでした。

上映には、山崎貴監督も招待され、最初に舞台挨拶を行いました。「プロデューサーが昭和30年代にこだわりがあり、この時代を再現するには、自分しかいないと言ってきた。しかし、自分はもう監督作品も3作目で、そろそろCG技術者じゃなくて監督として見て欲しいと思っていたのに、やはりCG屋と見られていると感じて、ゼッタイにやるもんか、と思っていた。(笑)しかし、阿部プロデューサーにはその前に2作、自分の好きな映画を撮らせてもらっていたので、恩返しに仕方なく撮った。それが、前2作と比較にならないほど大ヒットしたので、自分としては複雑な心境。(笑)」と語って、会場は笑いの渦でした。

上映中も、前半のコミカルな部分は笑いの渦、そして最後のほうは、あちこちからすすり泣きが聞こえてきます。そして、本編が終わってエンドロールが始まると、今度は拍手の渦、席を立つ人がなんと一人もいません。クレジットの最後に監督の名前が出ると、再度大きな拍手で、立ち上がって拍手している人も多数。そして、全部終わって会場の明かりがついてもまだ拍手は鳴りやまず、仕方なく最前列に座っていた監督は、再度立ち上がって観客席に向かって何度もお辞儀をしました。それでもまだ誰も立ち上がらない。ついに、監督もどうしていいかわからず苦笑い、観客もそれに答えて苦笑いして、ようやく出口に向かい始めました。

ジャパン・ソサエティの人に聞いても、こんなことは今まで一度もなかった、というほどの反応だったそうです。私もその場に居合わせて、映画そのものももちろん泣きまくりましたが、この反響になんだか感激してしまいました。

なお、上映に先立って、監督にインタビューを行いました。インタビュー記事は、本館Hoga Centralにまもなく掲載予定で、こちらのブログでも、のちほどもう少し詳しくレポートします。

「Always三丁目の夕日」ニューヨークで大好評! on 邦画セントラル : 13:51 | コメント (2) | トラックバック

2006年4月 9日

「容疑者室井慎治」特別インタビュー

邦画セントラルに、「容疑者室井慎治」の君塚良一監督の特別インタビュー記事を掲載しました。

君塚監督は、「容疑者」で「踊るシリーズ」初の監督を務めましたが、これまでオリジナルのテレビ・シリーズから「踊る大捜査線」映画版2作、「交渉人真下正義」まで、脚本または原案といった形で、原動力となってきた方です。この記事を書くまで知らなかったのですが、萩本欽一さんに師事したとか、「冬彦さん」も書いたとか、いわばテレビのメインストリームを歩いてきた方だったのですね。

今回は、HollywoodNewswire.netのはせがわいずみさんから素材のご提供をいただいて、英語で記事を書いています。私の英語なのであまり英語の勉強には使わないほうがいいですが、なかなか面白いお話をされていますので、ご興味のある方は、是非ご参照ください。

邦画セントラル「君塚良一 容疑者と踊るシリーズを語る」インタビュー

「容疑者室井慎治」特別インタビュー on 邦画セントラル : 14:39 | コメント (0) | トラックバック

2006年3月 2日

残念・・「隠し剣鬼の爪」アメリカ公開が・・

このところ、仕事がつまっていてなかなかブログのアップデートができなくて済みません。それでも邦画セントラル英語ブログのほうは、短い記事をなんとか書き続けているのですが、今日はちょっと残念なニュース。

山田洋次監督の「隠し剣鬼の爪」は、3月からアメリカで劇場公開予定、だと思っていたので、「邦画セントラル」に特集記事を書くべぇ・・と、配給会社Tartanのサイトを見たら、この前までトップページにあった写真がなくなっている・・あれっ?サイトでもう一回サーチしてみると、いきなしDVDのデータが・・・

電話をかけて問い合わせてみたら、やはり劇場公開はとりやめで、DVDをいきなり出すことになったそうです。実写映画では久しぶりの邦画のアメリカ劇場公開だい!と張り切っていたのに、しぼんでしまいました。くしゅん・・・

本業の締め切り地獄が終わったら、それでも一応は特集記事を書くつもりですが。

少し前に、ニューヨークタイムズの記事で、「アメリカ映画でも、最近はインディ系に近い小品のほうが、アカデミー賞のラインアップにあがるようになった。そのあおりで、これまでもマイナーだった外国映画は全体にますますシェアを失いつつある。」というのを読みました。もともと、アメリカの劇場売り上げのうち、外国映画の占める割合は1%以下らしいので、もうほとんど存在不可能みたいな状態です。

でも、一方で前にも書いたネットDVDレンタル、Netflixのおかげで、DVDではそれほどひどくありません。Netflixでは、外国映画の貸し出しは全体の5%前後ということで、劇場よりはだいぶ健闘しています。外国映画は、ますます、コストのかかる劇場公開をせず、もうDVDに専念するようになっていくのかもしれません。

残念・・「隠し剣鬼の爪」アメリカ公開が・・ on 邦画セントラル : 13:03 | コメント (0) | トラックバック

2006年2月 8日

アメリカでの日本映画売り上げの話

先日、「日本アニメがアメリカで売れているというのは幻想」という内容の話を、仕事ブログのほうに書きました。

Tech Mom from Silicon Valley - 日本製アニメは「東洋の魔女」時代のバレーボールか?

こう書いておきながら、ちゃんとデータをあたっていなかったのですが、たまたまそのデータを今日再度見て、面白いので簡単にまとめてみます。(なお、これは劇場売り上げだけの話です。テレビなどの話はまた別。)

Number.comというサイトで、過去の映画のアメリカでの劇場売り上げのデータが全部見られます。「日本の映画」のデータは下記にまとめてあります。

The Numbers - Japan Movies

あまり昔のデータは、飛び飛びであまり信用なりませんが、とりあえず1990年代後半以降のデータから拾うと・・

アメリカで一番売れた日本映画のランキング

ポケモン 2000 (2000) 4375万ドル
ポケモン3 (2001) 1705万ドル
千と千尋 (2002) 1005万ドル

ということで、1000万ドルを超えたのはこの3作のみ。全部アニメです。ちなみに、日本の2005-6年最大ヒットの「ハウルの動く城」は471万ドル。映画コンサルタント日記のてきさす様によりますと、アメリカの「大ヒット」基準は1億ドルですので、いずれも大ヒットには程遠いということになります。

実写映画はもっと悲惨です。この時期で100万ドルを超えたのは、

Shall We ダンス? (1997) 968万ドル

1作のみ。他に四捨五入して100万ドルになんとかなるのが、


座頭市 (2004)  85万ドル
ワンダフル・ライフ(1999) 80万ドル
たそがれ清兵衛(2004) 53万ドル

ありゃぁ、これだけだ・・・

昔のものも入れると、「影武者 400万ドル」「乱 213万ドル」なんてのもありますが、このデータには「七人の侍」といった上位にあがってきそうなのがはいっていないので、参考としてだけ挙げておきます。

日本でヒットした映画だと、それなりの権利料を払うことになり、それをそれなりに売るためには、お金をかけてプロモーションしないといけない、ということになります。日本版DVDのオマケを見ると、「Shall We ダンス?」では、監督と役者さんが全米行脚してプロモーションをやった映像が出てきますが、こういうヤツです。でも、これはすごくコストがかかります。「たそがれ」も「座頭市」もほとんどプロモーションはありませんでした。それだと、インディ映画系の映画館でマニアだけが見ることになるので、マニア向けならむしろ、最初からインディ系映画のほうが安いしお客のテーストに合っていていいや、ということなのでしょう。昨年でいうと「トニー滝谷」などといった、独立系の小品のほうがアメリカではむしろ見る機会が多くなっています。

日本の映画は最近ますます面白くなっているのだけれど、日本のヒット映画をなんとかもっとアメリカで見られないものでしょうかね・・・

アメリカでの日本映画売り上げの話 on 邦画セントラル : 12:36 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月15日

真田さん主演「無極」ゴールデングローブ賞ノミネートとアカデミー賞裏話

真田広之さん主演の中国映画「無極 - プロミス」が、アメリカのゴールデングローブ賞外国語映画賞部門にノミネートされました!!

プレスリリース(英文)

このほかノミネートされているのは、「カンフー・ハッスル」(中国)、"JOYEUX NOEL"(フランス)、"PARADISE NOW"(パレスチナ)、"TSOTSI"(南アフリカ)だそうです。ハリウッド通の友人によると、このうち、フランスと南アフリカの映画はすでにアメリカの業界では話題を集めているようで、その意味で有力と見られているようです。「無極」は、当初は今週末にアメリカで公開の予定だったのが、直前に無期延期となっています。中国で15日に世界最初に公開の予定なのですが、賞を決める審査員達がまだあまり見ておらず、広報活動も全くないために情報が出ていない、という不利な状況なのだそうです。ロサンゼルスで12/23に特別上映があるようですが、なんとか巻き返してほしいものです。発表は1/16、さて、どうなりますでしょうか・・・

さて、さらに問題なアカデミー賞では、ノミネーションのやり方がゴールデングローブとは違い、タイミングも違うということで、必ずしもゴールデングローブを受賞した作品が有利ということはないそうです。

「IndieWire」記事によると、アカデミー賞外国語映画賞部門のノミネートは、こんな手順で決められます。アカデミー賞では、55ヵ国から提出された作品を委員が見てノミネーションを決めます。55の作品を3つのグループに分け、ノミネート担当の委員も3手に分かれて見て(つまり、一人の委員がだいたい20本の外国語映画を見続けるワケですな・・大変です)すべての作品を評価し、点数の多いものから5本がノミネートされます。ここでも、事前に「本国や映画祭での評判」などの情報があるものがもちろん有利ですが、委員は今まで知らなかったものを発見すると嬉しくて良い点をつける、という傾向もあるらしく、このため「意外」な作品がノミネートされることがあります。2004年にノミネートされた「たそがれ清兵衛」は、この種の「幸運」を引き当てたのだそうです。

で、少数の委員が決めたノミネーションの中から、アカデミー会員全員の投票で賞が決まります。ここでは、ノミネーションの時のように、全員すべて見るという義務はありませんから、見たことのあるもの、評判がいいと聞いたものが当然有利です。特に外国語映画は、一つも見たことがない会員だって多いワケですから、すでにアメリカで公開されているモノが絶対有利です。「たそがれ」は、その後のアメリカ公開時でさえ、広報も宣伝もわずかなもので、アカデミー賞のときなど、全く誰も何も知らない状態で、広報活動もゼロでした。その時点で広報活動のフォローアップがあれば、きっと受賞していた、とは、この映画を見た多くの人が感じていることです。

真田さん主演「無極」ゴールデングローブ賞ノミネートとアカデミー賞裏話 on 邦画セントラル : 04:47 | コメント (2) | トラックバック

2005年11月10日

「蝉しぐれ」と日本人の美徳

蝉しぐれ

★★★★★[100点](0-100点)

現在、仕事で日本滞在中で、昨夜は念願の「蝉しぐれ」を見てきました。あまりの感動に、終わったあと何をすればいいのかわからなくなって、ぼーっとしておりました。

いろいろな要素の詰まったストーリーですが、あとで公式サイトで試写会を見た人のコメントを読むと、「忘れていた日本人のよさがここにある」といった言葉が多く見られました。息をのむほど美しい日本の春夏秋冬の風景とともに、「日本人の気高さ」を思い起こさせる映画なのだと思います。

この日本人の美徳とは、「自分の運命や置かれた環境を、たとえそれが不条理なものだったとしても、それをすべて受け入れ、その範囲の中で前向きに生きていく」ということだと思います。「矜持」という言葉も合うかもしれません。

それは、世上よく言われるように、現代の日本人が捨ててしまったものでは決してなく、ただ、日頃それを意識しないだけです。戦後の荒廃から立ち直ったのも、何度かの経済危機を乗り切ってきたのも、そして昨今不景気と言われながらも、他の多くの国のように犯罪や麻薬に染まっていくことがなく、東京の街がどんどんきれいになっていくのも、そのおかげなのだと思います。

「蝉しぐれ」の主人公・牧文四郎は、不条理に父を殺され、幼い恋の相手とも引き裂かれるが、すねたり、仇に復讐を試みたりせず、自分の役割をきちんと果たして精進を続けます。そして、想い続けた叶わぬ恋の相手を巻き込む、不条理な事態に直面しても、身を捨てて前向きに解決していこうとします。そして心をうつラストシーン。恋の相手、ふくもやはり、「矜持」をもって生きている美しい女性です。

こちらに来る飛行機の中では、前に見た「亡国のイージス」を上映していて、隣席の米国人男性がそれを見ていたので、「どう思いましたか?」とちょっと聞いてみました。いろいろな話をしたのですが、その中で彼は、「日本は世界に誇るべきものをもたない亡国になってしまった」というセリフを「日本人はそう思っているのかな、興味深い」と言ったので、「たしかに、そう思っている人は多いだろう。日本人は誇るべきものをたくさん持っているのに、それを意識していないように思う。」と答えました。

そして、「亡国のイージス」の中では、上官の不可解な総員離艦命令に整然と従うクルーを見ながら、敵役の某国スパイが「さすがは日本人、実に素直な民族だ」とせせら笑う場面があります。なるほど、この美徳は皮肉な見方をすれば、そういうことになるかもしれません。

でも、やはりそれは違います。唯々諾々と従うだけではなく、前向きに生きていく知恵と力があるのだと思います。そして、それは今も昔も、世界に対して誇るべきものであると思います。

映画としては、戦闘場面にややツッコミどころがありますが、市川染五郎さんの刀さばきや佇まいのあまりの美しさと、匂い立つような色気にボーナス点をつけて、満点とします。「たそがれ清兵衛」で新時代を迎えた日本の時代劇は、もう後戻りができないものになったようです。真田さんや、市川さんのような、美しい刀さばきと佇まいをもった、時代劇のできる役者さんがどんどん増えてほしいものです。

Posted by michi on 2005/11/10 with 映画生活

「蝉しぐれ」と日本人の美徳 on 邦画セントラル : 06:43 | コメント (0) | トラックバック

2005年11月 2日

「ホワイト・カウンテス」記者会見--真田広之さんにインタビュー!

「邦画セントラル」の新米記者として、本番のセレブ取材に臨むチャンスが、意外に早くめぐってきました。10月17日、ロサンゼルスで行われた映画「ホワイト・カウンテス」の記者会見に出席することができたのです。レイフ・ファインズ、ナターシャ・リチャードソン主演、その次に重要な登場人物を真田広之が演じる、1930年代の上海を舞台にした美しいラブストーリーです。

記事の内容は、「英語メディア」として取材したため、日本語化できません。真田広之さんのインタビュー記事として書きましたので、下記をご覧下さい。

邦画セントラル 真田広之さんインタビュー

なんせ新米なもので、レイフ・ファインズみたいな世界的に知られた俳優とナマでお話するなど、緊張で震え上がってしまうだろうと思っていましたが、意外にすんなりとコトは運びました。多分、その一つの理由は、「俳優さんたちも、スクリーンの外では普通の人」だったということでしょう。記者会見といっても、数人の記者と俳優さんが円卓を囲む形式で、俳優さんたちもカジュアルないでたちで、リラックスして話をしていました。まぁ、こんなことは映画ライターの方には日常茶飯事でしょうが、私にはこの「落差」がとても新鮮で印象的でした。

そんな中で、真田さんは、噂に違わず、にこやかで、快活で、フレンドリーな素敵な方でした。寡黙な印象があったのですが、なんと身振り手振りゆたかに、英語で饒舌にまくしたてておられました。

記事を読んで頂くとわかるのですが、真田さんにとっては、「中国での日本人を演じる」ことに、特別な思いがあったということで、そのいきさつやお考えを詳しくお話されていました。「英語を上手くなりたかったら、コトバの技術より、まず何を伝えたいのか、中味をしっかりさせろ」とよく言われますが、まさにそのとおりだな、と思いました。海外のメディアに、伝えたいことがあふれている・・・そんな気持ちが伝わってくるようなインタビューでした。

「ホワイト・カウンテス」記者会見--真田広之さんにインタビュー! on 邦画セントラル : 02:33 | コメント (2) | トラックバック

2005年10月 3日

中国映画と日本人俳優 in America

2046

★★★☆[70点](0-100点)

「2046」の話を書くにあたり、まだ当地で劇場でやっているか調べようと思い、新聞を見たら、なんと宮沢りえの出ている「トニー滝谷」をサンフランシスコの小さな劇場でやっているのを見つけました。そんなに話題作という感じでもないと思うのですが、やはり「たそがれ清兵衛」でアメリカの業界にも顔が知られている女優というのは、強いのでしょうか。サンフランシスコの地元新聞の批評家数人による平均点数では、「Grizzly Man」に続く堂々の第二位になっています。

さて、現在劇場公開中の上記点数ランキングでは、第三位が「コンスタント・ガーデナー」、一つ飛ばして第五位が「2046」です。私は劇場でなく、日本語吹き替えのビデオを見ました。難解なオープニング、1960年代の香港やシンガポールと、2046年の未来の話が組み合わさり、主人公の行動も私には難解で、最初のうちは気持ちを集中させるのに苦労しました。いかにも批評家が好きそうな映画だな・・・途中からプロットがようやく理解できて、楽しむことができるようになりました。(音楽と画面の美しさがうまくミックスされています。)

中国映画というと、一般的にはなんといっても「武侠もの」です。数年前の「グリーン・デスティニー」で市民権を得て、極小ニッチから中ニッチぐらいには昇格したように思います。アメリカ人にとっては、武侠ものなら地元にないので、まぁ許す、という雰囲気でしょう。日本ならサムライ・ニンジャと同じことですね。

それに加えて最近では、ケータイ・マンガ」的な「アジアン・ポップ・カルチャー」も、「アジアン・ニッチ」として認識されてきていると思います。「2046」も、耽美的な画面構成や、SF的なプロットは、高級アニメ映画をちょっと思わせます。

そんな背景の映画に、木村拓哉ってよく合っているな、と思いました。現実の60年代の日本人男性を演じている部分ではやや違和感がありましたが、未来部分のほうは非現実的な感じがピッタリはまって、なかなかセクシーでした。

この映画は、木村拓哉にとっては最初の外国映画出演だそうですね。最近は、中国映画に日本人の俳優が出演することが多くなりました。「ヘブン・アンド・アース」の中井貴一、もうすぐ公開の「無極」の真田広之、ちょっとこのカテゴリーとは違うかもしれませんが、「Lovers」の金城武もいます。

中国にしてみれば、日本人俳優を使うと、日本という一大マーケットで確実に売れるワケですから、しっかり計算があってやっています。で、アメリカから見ていると、このところ「中ニッチ」へ着実に昇格してきた中国映画の尻馬に乗って、日本人俳優が世界に顔を売るよい機会ではないかと見えます。日本映画はまだまだ極小ニッチですし、かといってハリウッドじゃなかなか日本人の出るチャンスはないですしね。(「さゆり」だって、やっぱり顔の売れてるチャン・ツィイーになっちゃうし・・・)

お互い、上手い具合に助け合って、やってほしいものです。

Posted by Michi on 2005/10/03 with 映画生活

中国映画と日本人俳優 in America on 邦画セントラル : 02:40 | コメント (0) | トラックバック

2005年9月26日

日本映画応援英語サイトをやっています

こんにちは。シリコンバレーでITコンサルタントをしている海部といいます。縁あって、このような映画のプロの方ばかりのブログに、なぜか登場させていただく素人新人です。(といっても、刺客ではありません。)どうぞ宜しくお願いします。

今日は、まず私が最近立ち上げたウェブサイトについてご紹介します。英語で、日本映画を紹介するサイト、「邦画セントラル」です。

邦画セントラル

アメリカ(それとおそらく、ヨーロッパでも・・)で日本映画のファンというと、黒澤映画や古典的なチャンバラもの、芸術もの、それの派生でさらにニッチに走ったもの、といった映画を好む方が多いようで、日本で人気のあるメインストリームの映画については、英語の記事というのをほとんど目にしません。多分、映画を海外で販売する方も、こういったファン層をターゲットにしておられると思います。

でも、アメリカに長年住んでいて、流れがちょっと変わっているな、と思うことがあります。映画業界の事情は知りませんが、私の専門分野であるネットの技術や文化から見ると、実写の日本映画を、もっと広い層の人に売り込むチャンスではないか、と思われるフシがいろいろとあるのです。

それで、まずはサイトをやって様子を見てみよう、と思ったワケです。

私ばかりでなく、アメリカの業界の人でも、私と同じ疑問をもってる人がいました。アメリカの業界誌、Varietyのアジア映画ブログを書いているGrady Hendrix氏も、こんなことを書いています。

カイジュウ・シェイクダウン9/21

「アジアのポップ・カルチャーはどんどん先へ行き、アメリカは取り残される。なぜだ?」

ということで、やっておりますので、邦画セントラルサイトを、どうぞ宜しくお願いします。この活動についてだけでなく、アメリカで見た映画の話など、今後いろいろ書いていく予定です。

日本映画応援英語サイトをやっています on 邦画セントラル : 12:18 | コメント (0) | トラックバック

[ 映画生活の映画ブログ ]
└ブログ一覧へ


Twitter公式ナビゲーター twinavi
雑誌ぴあ連動 オフシアター&インデックスダウンロード
©1999-2007 Unoh Inc. All rights reserved.